Suunto AMBIT4 が光学式心拍計になったとしても将来は明るいか?

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SUUNTO AMBIT 4 ?
近々に発表されるはずのスントのランニングウォッチは、これまでのベルト式心拍計ではなく、光学式になるはずだ。公式情報は何もないが、マーケット動向からしてそうならざるを得ない。

光学式脈拍計測技術の発展
フィリップス/mioあるいはセイコーエプソンなど、数社が光学式「脈拍」計測技術/デバイスを保持している。厳密には心拍と脈拍は違うものだが、通常の使用においては同等とみなして構わない。これまでの光学式心拍計は精度や安定性にやや難点があったが、最近の製品では大きく改善され、ユーザーの声を見てもほぼ満足なレベルに達していると思われる。そうなるとベルト式のメリットは何もなく、メンテナンスが面倒なだけである。メーカーにとっても、不要なパーツが減ることはコスト競争力強化になるだろう。

競合他社の先行
数年前のadidas SmartRUNは製品としては満足できるものではなかったが、最近は十分なものが出てきている。(※画像のクリックでAmazonへジャンプ)


MIO Alpha 2 (GPSなし)


 
EPSON Wristable GPS SF-810B/V (GPSあり)


 
GARMIN ForeAthlete 225J (GPSあり)

ベルト無しは、ユーザーに非常にわかりやすいメリットである。したがって、これら他社製品に遅れをとることは許されないだろう。ただし、スントが自社製の光学式心拍計を持っているとは思えないので、ライセンス交渉が難航し製品適用が遅れることは考えられる。

他分野からの侵食
同一市場の競合他社よりも大きな問題が、スマートウォッチ/ヘルスケア/フィットネス/ライフログデバイス(以下スマートウォッチ等)の進展である。テクノロジーはいつも下克上(下位市場で発生した技術が成熟し、上位市場の既存技術を駆逐する)だが、それが今まさにこの分野で進行している。

ランニングウォッチの市場規模は、スマートウォッチ等の市場に比べれば極めて小さいだろう。必要なセンサーは心拍計、加速度計、GPS程度で、完全にオーバーラップし、できることもほぼ同じ。したがって、ユーザーがスマートウォッチ等に流れる、あるいはそのレベルで満足し、そこにとどまってしまうことは避けられない。良い例がAmazonでベストセラーとなっているFitbit社製品へのユーザーの支持である。

Fitbit Surge (GPSあり)

Fitbit ChargeHR (GPSなし)

ランニングウォッチの今後
スマートウォッチ等と差別化できるとすれば、スポーツ中の見易さや操作性、バッテリーの持ち、スポーツ医学に基づく診断ノウハウ、デザイン、程度であろうか。プロダクトの機能やソフトウェア機能での差別化は次第に困難になると予想される。

ランニング以外のトレッキングや登山等、より特別なシーンに向けたウォッチであれば、耐低温性能や気圧、気温、強化された外装、バッテリー容量など、まだ差別化要素がある。もともとSUUNTOはその領域を得意としているメーカーだから、その領域を日常生活に向けて積極的に拡大し提案する方向が望ましい。(※CASIOがWSD-F10でスマートウォッチに対して取った明快なスタンスのように。)

Webサイト等での分析サービスの充実という方法もあるが、これは可能だろうか? 既にスマホアプリのベンダーの方が強力なのではないだろうか。スマホアプリならマルチデバイス対応も強みだ。なんと言ってもそれが彼らのビジネスの主力なのだから。

もう一つのストーリー
スマートウォッチ等のベンダーがランニングの領域に興味を示さず、今後あまり競合しないということはありうるだろうか? 最近のランニングの流行、フィットネスとともに最も日常に近いスポーツということから、非常に考えにくい。たとえプロダクトのベンダーがやらなくとも、サードベンダーがソフトウェアやサービスで実現するだろう。

一方、光学式心拍計にスポーツ中の精度の問題が明らかになるなど、技術の根本的な問題が発生すれば話は違ってくる。あるいは手首に密着させるという使用法からくる不快感、血液の流れが捉えにくいケース、これら個人差に起因する問題は技術では埋めにくい。ベルト式心拍計も併用可能として、高精度・万能性をアピールすることは可能かもしれない(しかしかなりニッチだ)。なお、寒い季節にはウェアの袖の「上」にウォッチのベルトを巻くという方は、光学式だと肌に密着しなくなるので使えない。仔細な点だが要注意ではある。

 今後への期待
この分野は現在非常に活性化している。ランニングウォッチの既存ベンダーにとってはタフな数年を迎えることになるはずだ。しかし、チェンジは常にチャンスでもある。ここを乗り切った時には、これまでにはない新たなプロダクト/サービスが実現されているはずだ。一ユーザーとして、それを楽しみにしている。

参考情報
・腕で測る!高精度脈拍計測技術 (※エプソンの技術はフィリップス/Mioとは異なる)


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